タイトル | : Re: 燃焼室フルスキッシュ加工について |
記事No | : 7296 |
投稿日 | : 2019/06/19(Wed) 10:49 |
投稿者 | : Mr,全噴 <4649@mecha-doc.com> |
> kazuさん
はじめまして。 燃焼室スキッシュ加工についてのメリットとデメリットにしてのご質問ですね。
では説明して行きます。
殆どのDOHCエンジンの燃焼室形状はペントルーフ型という台形の立方形状です。
この形状がスキッシュエリアが一番多いので初爆からの燃焼が良く、 街乗りでの低中回転でトルクが出て乗り易いエンジンになります。
このペントルーフ形を保ったままNC切削加工する事を「フルスキッシュ形状」と言います。
メリットとしてはNCで切削する事で容積誤差が1cc以内で合わせられるので、各気筒の燃焼圧力が同じになりトルク、レスポンスが向上します。
デメリットとしては圧縮比を上げたり(11.0以上)、ブーストを上げる(1.0kg/cu以上)とノッキングやデトネーション(異常燃焼)が出易くなります。
圧縮比アップで11.0以上にするSHOPさんもありますが… それでノッキングやデトネが起きないのは点火時期を落としているからです。 点火時期を落とす、という事は燃焼時間が短くなるのでピストンを押す力が弱くなります! 僕は点火時期や点火の閉角時間(コイルの充電時間)をいかに大きくして、 同じ排気量、同じ燃料噴射量でもピストンを押す力が強くなるように考えています。
しかし、チューナーさんそれぞれで考え方が違うので「これが正解」という物は無いですね。
次にヘミサークル形状について これはIN側のスキッシュエリアを無くした形状です。
メリットはノッキングやデトネが発生し難くなるので点火時期を進められ、ブーストも上げられるようになります。 しかし、ヘミサークルでも限度はありますよ!(^^;
デメリットは低回転域でのトルクが細くなってしまいます。 更にセッティングでトルクを出そうとすると燃料を濃くするので街乗りでの燃費が悪くなります。
このヘミサークル形状にするのは燃費は気にせず中高回転でトルクとパワーを求める方にお薦めです。
最後にフルサークル形状についてですが これはスキッシュエリアを全て切削した形状です。
メリットとして、この形状にすると圧縮比やブーストが極限まで上げられるようになります。
中高回転でのトルクとパワーが別物になります♪ 排気音もガラっと変わりますよ♪
エンジンパーツが壊れないのを想定すれば圧縮比では13.0以上、ブースト圧では1.8kg/cu以上が可能になります。 ガソリンがレギュラーか、ハイオクか、レースガスか、にもよっても上げられる値には違いが出ますけどね!
燃費を気にせず「本気走り」をしたい方にしかお薦め出来ませんけどね!(^^;
ちなみに、昨今のエンジンは高圧縮で燃焼圧力+圧縮圧力でピストンを押す考えになっているので 異常燃焼を抑える為にスキッシュエリアを出来るだけ少なくしているようです。
NAで言うとND(少しスキッシュ有り)やホンダS2000が純正でこの形状ですね。 でもピストン側でスキッシュを作っている、と聞きましたが… 本当がどうかは定かでは有りません。(^^;
デメリットとしては街乗りでの燃費は5km/L以下になると思った方がイイかも!
フルサークル形状にするとパワーが出せるようになるので他にもやりたい事が出てくるので費用が重みます!
エンジンに200万円掛けても構わない、という熱い方でないとメリットよりデメリットが大きくなりますね。
以上、参考になれば幸いです。(^^)
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